その格好良さに心の中で拍手を送った時、


「中森か?お前今どこにいる?…丁度良かった、今すぐ伊織に代われ。今すぐだ。あいつからの拒否は許さない」


ようやく中森さんと電話が繋がったのか、琥珀がいつもの刺々しい口調で話し始めた。


『今、夜中なんですけど…今日夜勤で良かった……』


琥珀がスピーカーフォンにしてくれたおかげで、中森さんの眠そうな声がはっきりと聞こえてくる。


その声にかなりの申し訳なさを感じるものの、琥珀や銀ちゃんは全くそんな事を考えていないようで。




「…伊織、そこに居るか?」


数秒後、銀ちゃんは、電話の向こうに居る怪盗mirageの最後のメンバーの名前を呼んだ。









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「…伊織さん、起きて下さい…伊織さん、電話です!」


何処からか、今日は夜勤で看守をすると言っていた中森 リンの声が聞こえる。


「…ん、何……?」


しっかりと爆睡していた早川 伊織は、まだ開ききらない瞼を擦りながらのそりと起き上がった。


どう考えても今は深夜だ、寝かせてくれ。


「琥珀さんから電話です。伊織さんと話したいみたいなので、代わって下さい」


寝癖が立ったままの頭を押さえていた伊織は、その言葉を聞いた瞬間に霧のかかった頭が異常なスピードで冴え渡るのを感じた。