「きゃああああ……!!」

 安心した私の目の前に、後を付けてきたであろう男が、怪しい微笑みを浮かべて立っていたのだった。

「どうして逃げるんだい?苺実ちゃん」
 
「え……」

 なんで?なんで私の名前……。
 私、この人に名前教えたことなんてないのに……。

「ぼくは苺実ちゃんと話したいだけなんだよ? 逃げなくてもいいじゃない。ね?」

 そう言って近付いてくるその男性、私は後ずさりするけど……。

「……っ、こ、来ないでください!」

 後ろはすでに壁で、それ以上下がれそうにない。

「苺実ちゃん、ぼくは苺実ちゃんが好きなんだよ? 分かってくれるでしょ?」

「え……」

 そう言われても、困ってしまう。 好き?私を?
 あ、ありえない!

「こ、来ないで!それ以上近付いたら、け、警察呼びますよ!?」

 時雨先生……お願い!早く来て!! 心の中でそう叫ぶしかない。
 先生、時雨先生……お願いだから、早く来てよ!!

「君にそんなことはさせないよ? ねえ苺実ちゃん、さっき誰に電話してたの?」

「や、やめて! 来ないで!」

 時雨先生、お願い早く来て!

「答えてよ、苺実ちゃん。さっき苺実ちゃんは、誰と電話してたのかな?」

「や……来ないで!」