チームメイトの朝日が、嬉しそうに笑ってくれる。

「先生、本当に……?」

「ああ、リハビリよく頑張ったな清宮」

「はい……。ありがとうございます」

 スタメンに選ばれることのなかった私が、こうやって選んでもらえるなんて、思ってもなかった。
 
「以上、これがバレーボール部のスタメンになる。夏の大会までもうすぐだ。気合い入れていくぞ!」

 時雨先生のその言葉に、私たちは「はい!」と大きく返事をした。

「ただし、怪我だけはしないようにな!」

「はい!」

 私にはもう、バレーボールが青春だ。この夏の大会で入賞出来れば、全国大会も夢じゃないかもしれないんだ。
 
「清宮」

「し、時雨先生」

「頑張れよ、清宮。 期待してるぞ」

 時雨先生は帰る間際に、そう言ってくれる。

「はい! ありがとうございます」

 時雨先生のために、私は大会まで頑張ろう。改めてそう思えたんだ。
 
「じゃあな、清宮。気をつけて帰れよ!」

「はい。 さようなら、時雨先生」

「おう、また明日な」 

「はい。……また明日」
 
 私は時雨先生にさよならと告げて、そのまま学校を出た。
 でもその日……あんなことが起きるなんて、思ってもなかったんだーーー。