「あの、時雨先生」

「ん?どうした?」

「……いえ、なんでもないです」

 時雨先生は私にとって憧れなんだ。好きだなんて、言える訳ない。 だって時雨先生を困らせたくないし、時雨先生に嫌われるのもイヤだ。
 時雨先生を好きになったのは私だけど、そんな気持ちを伝えることすら恐れ多い。

「清宮、今日もちゃんと部活参加しろよ!」

「分かってますよ、先生!」

 ああ、今日も時雨先生はカッコイイな。毎日見てても、本当に飽きない。
 そのくらい時雨先生は、カッコイイ。私のヒーロー的存在だ。

 時雨先生、私いつか時雨先生にこの気持ちを伝えられたらいいなあなんて、思ってるよ。
 その時はちゃんと、この気持ちを聞いてね。

   

 そして放課後ーーー。

 
「よし!まずはスパイク練習百本行くぞー!」

「はい!!」 

 授業が終わり、私は体育館でバレーボール部のみんなと部活に参加していた。
 夏に県大会があるため、今はその練習に追われている。

「ほら遅い! もっと早く動けっ!」

「はい!」

 時雨先生の声が体育館内に響き渡る。

「ほら清宮!次行くぞ!」

「はいっ!!」

 時雨先生はバレーボールになると、すごく厳しいけど、それも私たちのためだって分かっている。