「っ……時雨、せんせっ……」

「清宮、大丈夫か!?」

 時雨先生は、私に駆け寄るとそのまま私の顔をのぞき込んでくる。

「先生……怖かったっ……」

 私は涙が止まらなくて、グシャグシャの顔のまま先生に抱きついた。

「怖かったよな。遅くなってごめんな、清宮」

「せんせ……怖かったよぉ……」

 先生が来てくれたことに安心して、私はずっと涙が止まらなかった。

「っ……ありがとう、先生……来てくれて」

「何言ってるんだ!大事な生徒を守るのは、俺たち教師の役目なんだから、当たり前だろう」

 時雨先生は、私をぎゅっと抱きしめてくれる。

「……ほら清宮、これを着ろ」

 先生は私に、ジャージを貸してくれる。

「え……。でも……」

「いいから、着ておけよ」

 それも先生なりの優しさなんだと思うと、ちょっと嬉しい気持ちになった。

「……はい。ありがとうございます」

 私は時雨先生のジャージを、そのまま羽織った。
 時雨先生の……ニオイがする。

「先生のジャージ、大きい……」

「そりゃあな、男用だし」

 でも先生の優しさも、男らしさも、その勇気も、全部私は大好きなんだって思えた。

「……先生、ほんとにありがとう」

「ああ」