ここ一帯桜がずっと続いていて、そのため人々からはいつしか、『ゆめうつつ』と密かに呼ばれている。恋人のデートスポットとしても何度か雑誌掲載されており、お散歩デートはここに決まりと大きく書かれていたのを思い出す。


 いつか。

 いつか。

 『君と歩ける日』がくるのならば。

  君と、歩きたい。

 日が落ちるまで、学生の本分である勉強に追われる。それから家の手伝いをして、夜星が瞬く頃こっそり家を抜け出す。もう、すっかり慣れてしまったものだ。

 息を弾ませながら、星がよく見える坂道へ急ぐ。

 そこにいた君が気づく。