今日の午後6時に私は死ぬ。
いつも寝る時に怖がっていたけどその時よりも怖い。
天使は大丈夫、と何度も声をかけてくれた。
そのおかげで少し怖さが引いてきた。
タイムリミットが迫ってくる。残り2時間になった時、読み終わってない小説が目に入った。
あと3ページ程だったので読むことにした。
主人公は今が辛くて全部がどうでも良くなって自殺しようとしていた。
そこに担任が来て
「お前が決めたことなら先生は止めない。
ただ、最後に大切な人のことを考えてほしい。好きな人でも友達でも誰でもいいから死ぬ前にその人のことは考えてほしい」
と言って立ち去った。
その言葉を聞いて主人公は泣き崩れて好きな人のところに走っていき、想いを伝えて自殺をやめた。
この小説を読んで今の私に当てはめてみた。
私が死ぬ前に考えるべき人。友達ではない。
好きな人、匠くん。
でも匠くんは私の悪口を言って笑っていた。
私の1番大切な人は天使だ。
世界は広いということ、スクールカーストなんか関係ないということ、世界には味方がいるということ、たくさんのことを教えてくれた。
親のような安心感で私を包んでくれた。
下校中に苦しくなった時、助けてくれた。
寝れない時背中をさすってくれた。
自分の素直さに気づかせてくれた。
匠くんとどうすればいいのか作戦会議を開いてくれた。
死にそうで怖い時何度も大丈夫、と声をかけてくれた。
天使に何度も救われた。
天使が好きだ。
匠くんに向けた感情とは全く違う。
天使を見てみると私の手を握ってくれていた。
私もその手を握り返した。
すると驚いたような顔をして私を見つめてくる。
「ねえ、私さ天使のこと好き。私にとって1番大切な人は天使。」
天使はボロボロと涙を流していた。
「僕も心乃ちゃんのこと大好き。ずっと前から好きだった。
僕の一番大切な人は心乃ちゃんだよ」
予想外の答えに固まってしまった。
ずっと、というのはいつからなんだろう。
「僕さ、心乃ちゃんといると安心して落ち着くんだ。
心乃ちゃんには本気で幸せになってほしいって思ったから。
心乃ちゃんが匠くんのこと本気で好きなんだってわかって辛かった。
心乃ちゃんが夜泣いてると僕も辛かった。」
私は天使に辛い思いをさせていたのだ。
なんて最低なんだ。
自分ばっかり恋愛相談して。
「ほんとごめん、匠くんに夢中になってたけど今気づいた。天使のことが大好き。匠くんは人の悪口言う最低。」
すると天使が微笑んでこう言った。
「心乃ちゃんが死んだら僕も役目が終わって天使じゃない職業にはつけるんだけど、
いろんなのがあってね、僕は死んだ人の情報を確認してその人を支える仕事につきたいんだ」
私は天使に1年間担当してもらって幸せだった。
「なんで天使の仕事がやなの?
私は天使がいろんなこと教えてくれてほんとに幸せに1年間過ごせた。今までにないくらい幸せだったよ」
そう言うと天使は深呼吸をしてから
「天使が嫌なんじゃないよ。
その仕事につけば、」
天使の言葉がそこで止まった。
思わず「つけば?」と聞き返すと
「その仕事につければまた心乃ちゃんに会える。一生心乃ちゃんのこと担当できる。」
あまりの嬉しさに天使のことを抱きしめてしまった。
「私が特に感動したのがね、世界は広いって教えてくれた時。寝れない時に背中さすってくれたりして嬉しかったけど世界の広さを教えてくれた時が一番嬉しかった。」
言い切ったと思ったけどやっぱりまだ言いたいことがあったので続けた。
「でね、その時もし来世があったら
広い世界で生きるって言う意味で広世っていう苗字がいいなって思ったの。」
今度こそ言い切った。
残り時間わずかだ。
すると天使が「もし天国で会えたらよろしくね。大好きだよ」
と言って私の手を強く握った。
「私も大好き」
と返した直後、視界が真っ白に染まった。
何もない。
どんどん下に落ちていく。
下を向くとたくさんの雲が見えてたくさんの人がいた。
『天国だ』と確信した。
天使に辛い思いをさせていたからもしかしたら地獄に行くかもしれない、と少し不安だったけど天国でよかった。
雲の上に着地して辺りを見わたした。
真っ白な服を着た人が沢山いて空から落ちてきた人達に声をかけている。
「ねえ、君まだ説明聞いてない?」
とそこらじゅうから声が聞こえてくる。
天使と初めて出会った時同じように声をかけられたのを覚えている。
「ねえ、心乃ちゃん、まだ説明聞いてない?」
もう心臓はないけど心臓が止まりそうな感覚になった。
その声でわかる。
大好きな天使の声。
振り向く前に涙が溢れだしてきた。
振り向くともう天使じゃない天使が満面の笑みを浮かべてたっていた。
「はい、まだ何も聞いてません」
涙が流れるのを止められないまま答えた。
「僕は広世。よろしくね。
心乃ちゃんのこと担当することになった!」
広世。ついさっき私が天使に教えた名前だ。
「新しい名前、似合ってる」
「ほんと!?やったー!
あ、えっと、色々聞かせてね」
「はい」
「あ、全部知ってた!」
思わず笑いがもれる。
大好きな笑み。
「じゃ、広世、よろしく!」
「じゃあ心乃!よろしくね」
改めて名前を呼ばれると変な感じがする。
「ここでは歳とんないから一生2人で暮らせるよ、ここなら悪口言われることもスクールカーストもないから何も心配することないよ」
私はずっと広世と暮らせるんだ。
この平和な世界で。
「心乃はさ、辛いことが沢山あったのによく頑張ったよ、偉かったな。もう頑張る必要ないからな。」
この広世の声が大好きだ。
声だけじゃない。広世の全てが大好きだ。
色んなことを教えてくれた広世。
広世が天使だった頃に教えてくれたことを
きっと私が忘れることはない。
それくらい私の心を動かした。
大好きな広世から絶対に離れたくない。
1番大切な人は広世だから。
いつも寝る時に怖がっていたけどその時よりも怖い。
天使は大丈夫、と何度も声をかけてくれた。
そのおかげで少し怖さが引いてきた。
タイムリミットが迫ってくる。残り2時間になった時、読み終わってない小説が目に入った。
あと3ページ程だったので読むことにした。
主人公は今が辛くて全部がどうでも良くなって自殺しようとしていた。
そこに担任が来て
「お前が決めたことなら先生は止めない。
ただ、最後に大切な人のことを考えてほしい。好きな人でも友達でも誰でもいいから死ぬ前にその人のことは考えてほしい」
と言って立ち去った。
その言葉を聞いて主人公は泣き崩れて好きな人のところに走っていき、想いを伝えて自殺をやめた。
この小説を読んで今の私に当てはめてみた。
私が死ぬ前に考えるべき人。友達ではない。
好きな人、匠くん。
でも匠くんは私の悪口を言って笑っていた。
私の1番大切な人は天使だ。
世界は広いということ、スクールカーストなんか関係ないということ、世界には味方がいるということ、たくさんのことを教えてくれた。
親のような安心感で私を包んでくれた。
下校中に苦しくなった時、助けてくれた。
寝れない時背中をさすってくれた。
自分の素直さに気づかせてくれた。
匠くんとどうすればいいのか作戦会議を開いてくれた。
死にそうで怖い時何度も大丈夫、と声をかけてくれた。
天使に何度も救われた。
天使が好きだ。
匠くんに向けた感情とは全く違う。
天使を見てみると私の手を握ってくれていた。
私もその手を握り返した。
すると驚いたような顔をして私を見つめてくる。
「ねえ、私さ天使のこと好き。私にとって1番大切な人は天使。」
天使はボロボロと涙を流していた。
「僕も心乃ちゃんのこと大好き。ずっと前から好きだった。
僕の一番大切な人は心乃ちゃんだよ」
予想外の答えに固まってしまった。
ずっと、というのはいつからなんだろう。
「僕さ、心乃ちゃんといると安心して落ち着くんだ。
心乃ちゃんには本気で幸せになってほしいって思ったから。
心乃ちゃんが匠くんのこと本気で好きなんだってわかって辛かった。
心乃ちゃんが夜泣いてると僕も辛かった。」
私は天使に辛い思いをさせていたのだ。
なんて最低なんだ。
自分ばっかり恋愛相談して。
「ほんとごめん、匠くんに夢中になってたけど今気づいた。天使のことが大好き。匠くんは人の悪口言う最低。」
すると天使が微笑んでこう言った。
「心乃ちゃんが死んだら僕も役目が終わって天使じゃない職業にはつけるんだけど、
いろんなのがあってね、僕は死んだ人の情報を確認してその人を支える仕事につきたいんだ」
私は天使に1年間担当してもらって幸せだった。
「なんで天使の仕事がやなの?
私は天使がいろんなこと教えてくれてほんとに幸せに1年間過ごせた。今までにないくらい幸せだったよ」
そう言うと天使は深呼吸をしてから
「天使が嫌なんじゃないよ。
その仕事につけば、」
天使の言葉がそこで止まった。
思わず「つけば?」と聞き返すと
「その仕事につければまた心乃ちゃんに会える。一生心乃ちゃんのこと担当できる。」
あまりの嬉しさに天使のことを抱きしめてしまった。
「私が特に感動したのがね、世界は広いって教えてくれた時。寝れない時に背中さすってくれたりして嬉しかったけど世界の広さを教えてくれた時が一番嬉しかった。」
言い切ったと思ったけどやっぱりまだ言いたいことがあったので続けた。
「でね、その時もし来世があったら
広い世界で生きるって言う意味で広世っていう苗字がいいなって思ったの。」
今度こそ言い切った。
残り時間わずかだ。
すると天使が「もし天国で会えたらよろしくね。大好きだよ」
と言って私の手を強く握った。
「私も大好き」
と返した直後、視界が真っ白に染まった。
何もない。
どんどん下に落ちていく。
下を向くとたくさんの雲が見えてたくさんの人がいた。
『天国だ』と確信した。
天使に辛い思いをさせていたからもしかしたら地獄に行くかもしれない、と少し不安だったけど天国でよかった。
雲の上に着地して辺りを見わたした。
真っ白な服を着た人が沢山いて空から落ちてきた人達に声をかけている。
「ねえ、君まだ説明聞いてない?」
とそこらじゅうから声が聞こえてくる。
天使と初めて出会った時同じように声をかけられたのを覚えている。
「ねえ、心乃ちゃん、まだ説明聞いてない?」
もう心臓はないけど心臓が止まりそうな感覚になった。
その声でわかる。
大好きな天使の声。
振り向く前に涙が溢れだしてきた。
振り向くともう天使じゃない天使が満面の笑みを浮かべてたっていた。
「はい、まだ何も聞いてません」
涙が流れるのを止められないまま答えた。
「僕は広世。よろしくね。
心乃ちゃんのこと担当することになった!」
広世。ついさっき私が天使に教えた名前だ。
「新しい名前、似合ってる」
「ほんと!?やったー!
あ、えっと、色々聞かせてね」
「はい」
「あ、全部知ってた!」
思わず笑いがもれる。
大好きな笑み。
「じゃ、広世、よろしく!」
「じゃあ心乃!よろしくね」
改めて名前を呼ばれると変な感じがする。
「ここでは歳とんないから一生2人で暮らせるよ、ここなら悪口言われることもスクールカーストもないから何も心配することないよ」
私はずっと広世と暮らせるんだ。
この平和な世界で。
「心乃はさ、辛いことが沢山あったのによく頑張ったよ、偉かったな。もう頑張る必要ないからな。」
この広世の声が大好きだ。
声だけじゃない。広世の全てが大好きだ。
色んなことを教えてくれた広世。
広世が天使だった頃に教えてくれたことを
きっと私が忘れることはない。
それくらい私の心を動かした。
大好きな広世から絶対に離れたくない。
1番大切な人は広世だから。