葵さんが連れてきてくれたのは、海が見える公園だった。
海に夜景が反射してきれい。
滅多に海に来ないからか、珍しい雰囲気にテンションが上がる。
「きれいですね」
「うん」
気のせいかもしれないけど、葵さんは上の空だ。
何か話題を出したほうがいいのか迷っていたとき。
「俺、向日さんのこと好きだよ」
「えっ」
葵さんが口に出した言葉が信じられなかった。
何と返事をしたらいいのか分からず、言葉に詰まる。
「あの…えっと」
「俺のこと、どう思ってる?」
葵さんと一緒にいると楽しいしドキドキする。
そういえば、これが好きって感情だったっけ…
「えっと…えっと」
自分の気持ちを、葵さんにどう伝えたら分かってくれるのか。
「ん?」
葵さんの顔が近くなる。
「好き、です」
好き、と口に出した途端、なぜかホッとした。
「俺も」
葵さんが私の手をぎゅっと握る。
緊張していたせいかお互い手のひらが汗ばんでいる。
「知り合って半年くらいしか経ってないのに告白したら、嫌がられるかと思った」
「嫌がったりしないです!むしろ嬉しいです」
ニヤけていると突然、葵さんの顔が近づき唇に温かく柔らかい物が触れた。
何が起こったか分からず、葵さんの顔を見る。
葵さんは意地悪っぽい笑みを浮かべている。
葵さん、実はSっ気があるのかもしれない…