「ありがとうございます、私も真尋様のことが好きです。これからもお仕えさせていただきたいと思っています」
「……そういう意味じゃなくて。分からないの?」
「何がでございますか?」
「成瀬のバカッ。もぉ出てってよ」

 ドンと胸元を押し返し、成瀬を部屋から追い出した途端どっと疲れが襲いベッドへダイブする。
 わたしなりに素直な想いを伝えたつもりなのに、当の成瀬には全くと言っていい程伝わっていなかった。それどころか、成瀬はわたしのことを東堂家の人間としか見ていない。自分が仕える主人としか思っていないみたいだった。

「うぅ〜〜」

 ボスボスと顔を埋めている枕を叩き、足をジタバタさせる。
 こんなことをしていても成瀬に気持ちは伝わらないし、自分の気持ちも整理できないことくらい分かっているけれど。
 今は成瀬の鈍感さと、わたし自身の考え無しの言動にイライラするばかり。