「旦那様からのご命令ですので。真尋様がどんなに拒否なさろうと、今夜は旦那様の元へお連れいたします」
「真面目かっ」
後部座席の背もたれにボフンと背中を預ける。どうやら成瀬はわたしの言うことを聞くつもりは無いらしく、真っ直ぐ前を向きハンドルを握っている。
そんな成瀬を後ろから眺めていたら、ふと思った。
……もしわたしが道辻さんと結婚したら、成瀬はどうなるの? どう思うの?
指定された料亭に着くと個室に案内され部屋へ通された。既にフェルダの道辻社長と見合い相手である翔斗さん、そして父が勢揃いしていた。
席に着くなり軽く挨拶を済ませ、道辻社長と父は「あとは二人で」なんてお決まりなセリフを残し退室してしまった。
「改めまして、道辻翔斗です。今夜はお会いできて光栄です」
「あ、はい」
親達を見送った翔斗さんから挨拶され、気の抜けた間抜けな返事をしたわたし。気にもとめず翔斗さんは話し始めた。
「お仕事帰りでしたよね? お疲れ様でした」
「あぁ、はい」
「僕もね、今日は一日中各店舗に顔を出して。これからも気分良く仕事をして貰えるよう、社員達にお世辞を言いまくり疲れました。あははっ」
「へぇ」
「でね……」
「真面目かっ」
後部座席の背もたれにボフンと背中を預ける。どうやら成瀬はわたしの言うことを聞くつもりは無いらしく、真っ直ぐ前を向きハンドルを握っている。
そんな成瀬を後ろから眺めていたら、ふと思った。
……もしわたしが道辻さんと結婚したら、成瀬はどうなるの? どう思うの?
指定された料亭に着くと個室に案内され部屋へ通された。既にフェルダの道辻社長と見合い相手である翔斗さん、そして父が勢揃いしていた。
席に着くなり軽く挨拶を済ませ、道辻社長と父は「あとは二人で」なんてお決まりなセリフを残し退室してしまった。
「改めまして、道辻翔斗です。今夜はお会いできて光栄です」
「あ、はい」
親達を見送った翔斗さんから挨拶され、気の抜けた間抜けな返事をしたわたし。気にもとめず翔斗さんは話し始めた。
「お仕事帰りでしたよね? お疲れ様でした」
「あぁ、はい」
「僕もね、今日は一日中各店舗に顔を出して。これからも気分良く仕事をして貰えるよう、社員達にお世辞を言いまくり疲れました。あははっ」
「へぇ」
「でね……」