「申し訳ございません。ですが私は真尋様に似合うだろうと選ばせてもらいましたので思っていた通りでした、素敵です」
「……道辻さんの好みに合わせたとかじゃなくて、成瀬の好みで選んだの? ホント?」
「申し訳ございません。元々は道辻様の好みをリサーチしてフェルダ店舗へ出向いたのですが、色々見ているうちに頭が混乱してきてしまって……」

 散々迷った挙句選び出せなかった成瀬は、結果的に成瀬がわたしに着せてみたい服を選んだというのだ。

「ふぅん、成瀬はこんな感じの女の子が好みなのね」
「好みといいますか……フェルダは普段真尋様がお召になっているブランドとは系統が違うようでしたので、私も戸惑いまして」

 相手の好みではなく成瀬の好みで選んでくれたのなら、それはそれでいいかなと思った。いつもとは違うテイストの服を成瀬がわたしのために見立てたということは、きっと成瀬がわたしの違う一面を見てみたいと興味を持ってくれたということだろうから。

「ねぇ、ホントに会わなきゃダメなの? このまま二人で何処かへ行っちゃわない?」