「とりあえずさ、お試しで雇おう。明日にでも手配しておくよ」

「待って待って、なんで家政婦さん雇う方向で話進んでるの?」

「んー、なんとなく?」

「ちょっと真剣に考えようか⋯」

智明と結婚してから薄々感じていたが、智明はたまに適当なところがある。

普段は超がつくほど真面目なのに、自分のこととかそんなに重要でもないこと、ふざけている時は割と適当だ。

そして、それは今も例外ではなく智明は面白半分、本気半分で家政婦さんを雇おうとしている。

「とにかく、家政婦さんの件は一旦保留ね。そんなパッと決められるものでもないし」

「でもさ、善は急げって言うじゃん? それに、若い女性の家政婦は雇わないから安心して」

「なんでそれを⋯」

「もし俺がその家政婦に惚れたらとか考えてるのかなって思って」

たしかにそれも理由の一つだけど、現に私だけで家事とかやっていけてるわけで。

無理に雇う必要もないというか。

それに──────。

「家事くらい私がやるから大丈夫。だから、家政婦さんは雇わなくていいよ」

「他にも気になることある?」

「ねぇ、やっぱり智明はエスパーだよね。もうここまで思考読まれると怖すぎる」

「酷いなぁ」

そう言って、智明はケラケラ笑った。

私としては、思考読まれ過ぎて怖いから笑いごとじゃないんですけどね。