「いつまでそんなはじっこにいるつもり?」

「だって、恥ずかしいんだもん! せめてタオル巻かせてよ!」

「温泉入る時タオル巻かないだろ。それと同じだよ」

「何も同じじゃないよ! ここ温泉じゃないし!」

「キャンキャンうるせぇ。もっとこっち来い」

そう言って高峰くんは私の腕をひっぱり、あっさり彼の腕の中に収まった私。

多分普通の女子ならきゅんきゅんするんだろうけど、今の私には恐怖でしかないです。はい。

「蛍の心臓すごいバクバクしてるね」

「そんなことないです。てか、高峰くんも心臓バクバクしてるじゃん」

「緊張してるからな。あと、高峰くんじゃなくて智明って呼べよ」

「名前で呼ぶのは無理!」

「蛍はずっと"無理"ばっかりだな」

ニヤッと笑った高峰くん、もとい智明くんの顔があまりにも綺麗で思わず見惚れてしまった。

昼間も思ったけど、至近距離でじっくり見てみるとやっぱり綺麗な顔してるわ、智明くん。

「そんなに俺の顔見てどうしたの?」

「別に、見てません⋯」

「嘘つき、ガン見してたよ」

「気の所為じゃないですか?」

「いや、気の所為じゃないよ。俺に惚れた?」

「惚れてませんから!」

ダメだ、ずっと智明くんのペースに飲まれてる気がする。

このペースに飲まれないように、しっかりしなきゃ。