俺は席を立った。
「亮、どうした?」
首をかしげる男友達の声すら
俺の耳には届いていない。
俺は窓際までズカズカ歩くと
ルンルン肩を弾ませながら
空に向かって伸びをする
陽菜の隣を陣取った。
「陽菜」
「あっ、亮くん」
うわっ。
屈託のない笑顔。
陽菜の奴
マジで可愛すぎ…………って。
いけない、いけない。
平常心、平常心。
普段のちょい上から目線で
陽菜に絡まないと
俺の恋心が暴走しそうになるわ。
「今日はいい天気だね~」
「昨日は雨がひどかったからな」
「風も強くて
桜が半分くらい散っちゃったんだよ~」
「でも陽菜は
桜が散ってもがっかりしないよな?」
「するよ」
「そう?」
「そうだよ!
だって満開の桜って
ずっと見ていたいくらい綺麗だもん。
だけどね……」