俺と陽菜は幼なじみだ。


家は隣同士。

家族ぐるみで仲良しなのは
俺が生まれた時から
今もずっと続いている。



誰よりも長く一緒にいて

誰よりも陽菜を知っている自負が
俺にはある。



でも、今のままじゃダメだ!

幼なじみのままじゃ
取り返しがつかなくなる。



だって……

だってさ……



幼なじみとして
一緒に過ごした思い出が
抱えきれないほどあっても

それがどんなに楽しい
思い出だとしても


『彼氏』


陽菜にとって、幼なじみ以上の
特別な存在ができたら

俺との思い出なんて
色あせて、薄らいで

陽菜の思い出ボックスの隅に
追いやられてしまうんだから。