胸まで伸びた陽菜の髪が
春の風でサラサラと揺れ

陽菜の綺麗な横顔に
目が奪われ中の俺の心臓まで
ゾクゾクっと揺れ暴れだす始末。



あ~あ。

何やってるんだよ
陽菜の奴。



毎朝、自分の部屋の窓を開けて

『今日も笑顔でいられますように』

空に祈りをささげる
癖と言いうか習慣。



朝の風を五感で堪能するように
目を閉じ
清楚に微笑む陽菜の口元。


それは

隣の家に住む俺だけが
毎朝拝める
特別な表情だったのにさ……




俺の周りにいる男子が
よどめき出した。



「姫野って
 あんなに大人っぽかったっけ?」


「黙ると雰囲気違うよな」


「いつもケラケラ笑ってるから
 ギャップがすごすぎ」って。



教室には
一目ぼれしたかのように
陽菜に見とれている奴もちらほら。



『このままじゃ、陽菜が奪われる!』


その現実に、焦る俺。

ツーと首元に冷や汗がたれる。