はぁぁあぁぁ。

そのキラッキラな笑顔
俺以外の奴に見せるなよ。


恋のライバル、増えるじゃんか。



心配が膨らむ俺。



自分の席で、男友達の自慢話に
頷きながらも
俺の耳が敏感にとらえるのは

好きな女の嬉しそうな笑い声で


「窓の外、桜の花びらが舞ってる。
 綺麗~」



さわやかな笑顔で放つ
陽菜の独り言に
ソワソワが止まんない。



俺の心の動揺に
1ミリも気づいていない
能天気な幼なじみは

「春っていいよね~」

と言いながら教室の窓を開けると


パンパン


青空に向かって二回手を叩き
手のひらを合わせて目を閉じた。



――まるで
祈りをささげる美少女だな。