あの当時、剣を振るうエディロンはを見てシャルロットはまるで恋物語の中でお姫様を救い出す英雄のようだと胸をときめかせたものだ。
(その剣で自分が刺されるなんて、夢にも思っていなかったわよね)
エディロンはシャルロットとの婚約破棄の約束を周囲には話していないようだった。
ケイシーは、婚約者なのにもかかわらず全く交流を持とうとしないエディロンとシャルロットを心配して、気を回してくれたのだろう。
「せっかくのお誘いなのにごめんなさいね」
「いえ、お気になさらずに」
「ケイシーは私に気にせず、見に行ってきてもいいのよ?」
「え? わたくしは別に……」
「本当に?」
揶揄うように目を細めると、ケイシーの頬がバラ色に染まる。
(ふふっ、可愛い)