(どうするかな……)

 唇を噛みしめて泣くのを耐えるシャルロットの姿は、エディロンの同情心を誘うには十分だった。国のためとはいえ、彼女に対して意地悪をしたいわけではないのだ。

 だが、エディロンは国王として『では、この結婚はなかったことに』と言うこともできない。

「では、こんな案はどうだろう? 結婚式を行うまでの間に、この政略結婚しなくても問題がないほどに外交上のダナース国の地位が改善すればあなたとの結婚も取り消していい」
「え? 本当ですか!?」

 真っ青だったシャルロットの顔が、一瞬で明るいものになる。

「ああ。この結婚を申し入れた理由は、ダナース国の国際的地位を向上させることだ。その目的を達成しているならば、お互いの意にそぐわない政略結婚をする必要がない。あなたがどこでなにをしようと、好きにすればいい」

 エディロンはそこで言葉を止め、シャルロットを見つめた。