一度目の人生で知るセザールはもっと砕けた口調でいつも気安くエディロンと軽口を叩き合っていた。軽い印象があるが、仕事に関してはとても有能で頼りになるとエディロンは言っていた記憶がある。

 顔を上げたシャルロットは周囲をざっと見回す。多くの人々が出迎えていたが、その中にエディロンはいなかった。

「恐れ入りますが、陛下は?」
「陛下はただいま手が離せない所用でして。本日中に謁見の場を設けさせていただきます」
「承知いたしました。ありがとうございます」

 シャルロットが頭を下げると、セザールは目を瞬かせる。

(どうしたのかしら?)

 シャルロットはその反応を不思議に思った。

「あの……、どうかされましたか?」
「いえ、なんでもありません」

 セザールは慌てたようにそう言うと、「お部屋にご案内します」と言った。シャルロットはその後ろをしずしずと付いて行く。