「いやー、よかったです。陛下が嫌だって駄々を捏ね続けたらもう勝手に書簡送るしかないと思ってたんで」
「勝手に送る気だったのか?」
「背に腹は代えられませんので」

 セザールはハハッと笑う。そのあっけらかんとした様子を見て、エディロンは額に手を当てながらも苦笑する。

「まあ、お前が妙にかしこまって相談をしてきた時点で俺が望まないなにかの話題を持ち出そうとしていることは予想が付いていた」
「あ、ばれました?」

 腹を抱えて陽気に笑う男をエディロンは見る。

 エディロンの側近中の側近であるセザール=ブラジリエは、エディロンにとって幼いときからの友人でもあった。