しかし、その可愛らしい見た目とは裏腹に、内面は気位が高く気難しそうだと感じた。
現に、そのとき初めて出会ったエディロンに対してあからさまに顔を顰め、関わるのが嫌そうな顔をした。恐らく、ダナース国の歴史を知った上で自分のことを嫌悪しているのだろう。
「他国の姫じゃだめなのか?」
「エリス国の王女が望ましいです。エリス国は神の祝福を受けた国と言われております。国土は狭いものの国民の中に一定数、不思議な魔法を使える者がおり周辺国からも一目置かれている存在です。その姫君を陛下が妃として迎えたとなれば、周辺国もこれまでのダナース国を見下した態度を改めるでしょう」
「そのエリス国の王女自身が我が国を見下しているように見えたが」
エディロンはハッと鼻で笑う。
エリス国の王女のあの目を、エディロンは何度も見たことがある。にこやかに受け答えしているが、内心では『平民が作った張りぼての国家』と見下しているのだ。
(選民意識が高い奴らが考えそうなことだ)