「そっか、姉さんは結婚するとその日に死ぬんだっけ?」
「そうよ。過去五回、全部そうなの」

 シャルロットは刺繍の糸の後始末をすると針をソーイングボックスに戻し、はあっと息を吐いた。
 最初のループが始まってからというもの、シャルロットは様々なことを試みて人生を明るいものにしようと努力した。


 まず二度目の人生。

 運命を変えた舞踏会で、そもそもエディロンに会わないように細心の注意を払った。そして、ダナース国側からの申し入れがあった時期より前に、件の舞踏会で出会ってしつこく言い寄ってきた国内貴族──ラシュレイ侯爵家の令息の口説き文句に頷いた。
 別に彼に恋していたわけではないが、殺されるくらいなら別の人と結婚したほうがましだと思ったのだ。 

 ところがだ。

 なんと、ラシュレイ侯爵令息には元々婚約者がいた。シャルロットが口説き文句に頷いたので、彼はその婚約者を手ひどく捨てていたのだ。
 結果、結婚式に乱入してきた元婚約者の女に刺され、シャルロットは命を落とした。