一度目の人生の再現のようなエディロンの反応を不思議に思いながらも、シャルロットは自分の耳の上に付けられた髪飾りに手を触れる。そして、すぐに違和感を覚えた。

(え? 壊れている?)

 いつもと触り心地が違う。慌ててそれを外す。
 手のひらに載せて改めてそれを見て、シャルロットも目を見開いた。

「花が……」

 花が咲いていた。蕾だけの地味なデザインだったはずの髪飾りは、満開に咲いた花が幾重にも咲き乱れている。そして、花のひとつひとつの中央にダイヤモンドが埋め込まれていた。
 この髪飾りを見て『地味なデザイン』という人はまずいないだろう。

(幸せになれる髪飾り──)

 これが贈られたときの母の言葉を思い出す。そうして、ハッとした。

(魔法が完成したのね)

 母は片田舎の村娘でありながら、その噂が遠い王都にまで広まるほどの大魔女だった。今までのループは全て、母の魔法だったのだと気付く。