「それは非常にいい作戦だった。お陰で俺が求婚するまで、どこの誰にも言い寄られずに済んだからな」

 エディロンはシャルロットを見つめて口角を上げる。

「だが本当は違う。知れば知るほど、俺を魅了してやまない。当時からさぞ愛らしい姫君だったのだろうな」

 甘く微笑まれて、頬が紅潮するのがわかった。エディロンは元々シャルロットに甘い言葉を囁く傾向があったが、最近はその傾向が増長している気がする。

「そんなことは……。普通の子供です」
「本当に?」

 エディロンに顔を覗き込まれる。

「こうしてサクランボのように頬が赤くなるところも可愛いな」
「エディロン様。あまり揶揄わないでくださいませ!」

 照れを隠したくてシャルロットは頬を膨らませる。エディロンの胸を軽く叩こうとしたが、その手は呆気なくエディロンの手に掴まってしまった。

「揶揄ってなどいない。俺はいつだって、あなたに対して本気だ」
「……っ!」

 エディロンはシャルロットを愛おしげに見つめると、体を屈ませる。
 与えられたのは、蕩けるような甘いキスだった。