(あのときから、全てが始まっていたのね)

 シャルロットはあのときにジョセフに触れられたおでこに手を当てる。
 いつもそっと自分を見守ってくれていた弟に、心から感謝したのだった。

「それにしても、エディロン様とジョセフが通じていたのには驚きました」

 シャルロットは二階の窓から外を眺めていたエディロンに話しかける。エディロンはシャルロットのほうを振り返る。

「エリス国が糸を引いていると気付いたとき、誰かしらの味方が必要だと思ったんだ。誰が適任かと考えて、あなたからよく名前を聞いていたジョセフ殿なら必ずよき相談相手になってくれるだろうと確信した」
「びっくりしましたわ」
「それは悪かった」

 エディロンは苦笑いする。
 シャルロットにとって、ジョセフが前エリス国王を追放したときの出来事は本当に衝撃的だった。全く自分の知らないところで、エディロンとジョセフがあんなことを計画していただなんて。