「ガル!?」

 シャルロットも驚いて素っ頓狂な声を上げる。ガルはダナース国に置いてきたはずなのに。

「俺を誰だと思っている。一瞬でここに来ることなど、朝飯前だ」

 心を読んだかのように、ガルが不機嫌そうな声を上げる。
 やっぱり今日も怒りん坊のようだ。

「神竜だ。神竜が現れたぞ!」

 一方、興奮したようにそう叫んだのは魔法庁の長官であるオリアン卿だった。
 魔法庁は古くからの言い伝えである神使についても専門なのだ。

「神竜だと!?」
「神竜ですって?」

 エリス国王とオハンナがほぼ同時に叫ぶ。
 神からの遣いである神竜が現れるのは、その寵愛の印とされる。神竜の加護を得たエリス国の王族は国を繁栄に導くと信じられていた。