「え?」

 恐る恐る目を開けると、目の前には黒いケープの男が横たわっていた。エディロンが刺したのだ。

「大丈夫か、シャルロット!」

 エディロンがシャルロットのほうへ駆け寄り、ぎゅっと抱きしめる。

「わたくしは大丈夫です。エディロン様のほうこそ──」
「俺はなんともない。あなたの花瓶で加勢するという無茶をしたお陰で相手に隙ができた。礼を言おう」

 エディロンに優しく背中を摩られて、ほっとする。少しは役に立つことができて嬉しい。

「それにしても、この男は──」

 死んでしまったのだろうか? 
 絨毯に染みこむ血だまりを見て震えていると、また背中を優しく叩かれる。

「大丈夫だ。加減してある。殺してしまっては自白が得られなくなってしまうからな。とは言え、治療してやらないと危ないかもしれない」