シャルロットは一通りの護身術を身に付けている。殺されそうになったときに抵抗できるように学んだのだ。
 けれどそれ以上に、シャルロットはエディロンが必ず守ってくれると信じていた。

 シャルロットがにこりと微笑むと、エディロンは驚いたように目を見開いた。そして、参ったと言いたげにフッと口元を緩める。

「ああそうだな。あなたのことは絶対に守る。……だが、万が一にも危険が迫ったら戦わずにすぐに逃げろ。わかったか?」
「わかっております」

 シャルロットがこくりと頷くと、エディロンは「よしっ」と言って手を伸ばす。
 頭をぽんぽんと優しく撫でられた。
 

 ◇ ◇ ◇


 目を閉じると、まぶたにふんわりと筆が乗せられる。

「シャルロット様、目を開けてくださいませ」

 女性の声でゆっくりと目を開けると、シャルロットの顔を覗き込んでいた女性──この日のために呼んだ化粧師はにっこりと微笑む。