「その策略、気付いていないふりをして敵をおびき出してはいかがでしょうか?」

 エディロンはそれを聞き、眉根を寄せる。

「しかし、奴らが狙っているのは寝室に向かうタイミングだ。場合によっては、あなたにまで危険が及ぶ可能性がある」
「大丈夫です。彼らが狙っているのはわたくしではないのでしょう?」
「しかし、明日は結婚式の当日だ。万が一ということも考えられる」

 ──結婚式当日。

 そう聞いて、エディロンが何を心配しているのかすぐに理解した。 その暗殺者が、エディロンだけでなくシャルロットに害を与えることを心配しているのだ。

 シャルロットは結婚式当日に必ず死ぬ。確かに、その暗殺者に殺されることも大いに考えられる。

(でも──)

 エディロンがこのあと命を狙われ続けることのほうが嫌だと思った。シャルロットはぎゅっと拳を握ると、まっすぐにエディロンを見つめる。

「わたくし、自分の身を守れるくらいはできますわ。それに、わたくしのことは陛下が守ってくださるのでしょう?」