エディロンは特段驚いている様子もなく、淡々と答える。一方のシャルロットは物騒な話に顔色をなくした。

(命を狙われているですって?)

 確かにエディロンが気に入らないと思っている反逆勢力なのだからそうするのが一番手っ取り早いのだろうとは予想が付く。しかし、いざ実際に耳にするとぞっとする。

「だが、寝室に入るにはその前段で俺の私室に入る必要があるし、俺の私室の前には警備の兵士がいるから狙いにくくもあるのだがな」

 エディロンの言うとおりだった。
 ダナース国の王宮の国王夫妻の寝室はエディロンの私室からの続き間になっている。その間にはドアがひとつあり、どちらからも鍵がかけられる仕様になっていた。

「窓から侵入するつもりでしょうか?」
「窓から?」

 エディロンは立ち上がり、部屋の窓を開けて寝室側を見る。そしてまたソファーへと戻ってきた。

「ここは三階だ。足がかりになる物もないし、難しいだろう」
「念のため、明日は屋上と宮殿の外壁周りの警備も強化します」
「ああ。そうしてくれ」