「あの……わたくし、席を外しましょうか?」

 敏感にそのことを察したシャルロットは、エディロンに問いかける。すると、エディロンは首を横に振った。

「いや。ここにいて構わない。シャルロットは明日にはダナース国の王妃になるのだから」
「承知しました。それでは、報告させていただきます。実は、明日の結婚式に合わせてよからぬ動きがあるとの情報が入っています」

 セザールが険しい表情でエディロンに報告する。

「明日の結婚式に合わせて? なるほど。警備が厳重になる反面、人の出入りが激しいから部外者も入り込みやすいからな」
「はい。宮中に入るチェックは厳重に行いますが、それでも注意したほうがいいかと」
「ああ。それで、一体どういう企みだ?」
「陛下の命を狙おうとしているようです」
「ほう?」

 エディロンの視線が鋭いものへと変わる。

「明日の結婚披露パーティーののち、陛下は確実にシャルロット様が待つ寝室へと向かいます。そこを狙っているようです」
「なるほど。初夜に妻の元を訪れない夫はいないからな。浮かれているし、行為の最中は無防備で襲いやすい」