エディロンが許可を出すとすぐに、部屋のドアが開かれる。

「何があった? 明日の準備に不手際でも発覚したか?」

 エディロンが尋ねる。
 こんな夜遅く、しかも結婚式の前日にセザールがエディロンの元を訪ねてくるとなると、何かがあったと考えるのが自然だ。

「いえ、明日の準備は滞りなく進んでおります」
「では、どうした?」

 エディロンが尋ねる。

「実は、反逆勢力の件で至急お耳に入れたいことが──」

 セザールがワントーン声を潜めて、エディロンに告げる。

(反逆勢力?)

 シャルロットは確かに聞こえたその単語にハッとした。以前、お茶会の際にもエディロンには彼のことをこころよく思わない反逆勢力がいると聞いたことがあった。

 セザールはエディロンの横に座っているシャルロットを気にするようにちらりと視線を向ける。シャルロットがいるこの場で話を始めていいものかと迷っているようだ。