シャルロットは不思議に思った。
一度目の人生では社交パーティーでこれを付けているときにエディロンに出会ったが、今世ではシャルロットは社交パーティーに参加していないはずだ。
「ああ、そうだ。あなたは会場の外にひとりでいて、そのトカゲと一緒に時間を潰していた」
エディロンが視線で指したのは羽根つきトカゲのガルだった。部屋の隅で眠っていたガルは自分ことを話しているのを悟ったのか顔を少し上げる。
「あとは、ものすごく酸っぱいフルーツを渡された気がする。あれはなんだったかな……」
「もしかして、トネムの実ですか?」
「ああ、そうだ。それだ」
エディロンは思い出せたことで満足したのか、パッと表情を明るくする。
「陛下とわたくし、昔会ったことがある?」
「あるな。エリス国の行う大規模な社交パーティーで会った。俺は父上と一緒に参加していたのだが、あの時期は今よりもさらにダナース国の立場は微妙で周辺国の態度も悪かった。会場で酔った異国の来賓に馬鹿にされたことが悔しくて頭を冷やそうと外に出たら、あなたがいた」
シャルロットは遠い記憶を呼び起こす。