シャルロットはエディロンの脇に視線を投げる。そこには、いつもエディロンが腰に佩いでいる立派な剣が置かれていた。見た目だけでなく、中身もしっかりと磨き込まれた真剣だ。
「俺が?」
「はい」
「嘘だろう?」
「本当です」
シャルロットの返事に、エディロンは解せないと言いたげな表情だ。
「どういう状況で?」
「初夜に来訪を待っていたら、斬り殺されました」
そのときに〝ドブネズミ〟という蔑みの言葉付きだったことは、ここで言わなくてもいいだろう。
「……そんな馬鹿な。…………。何かの間違いじゃないか?」
エディロンは口元に手を当て、眉間に深い皺を寄せる。
本気で信じられないようだ。
(本当に、何かの間違いだったらよかったのだけれどね)
残念ながら、シャルロットが話していることは紛れもなく真実だ。そしてあの日を境に、シャルロットの不思議なループが始まった。