「信じられないですよね……」

 シャルロットは視線を伏せ、ぎゅっと手を握る。
 普通であれば到底信じられる話ではないことは、シャルロット自身も重々承知している。

「いや……」

 エディロンは一点に向いていた視線をシャルロットの顔へ向ける。

「信じよう。あなたの持っている知識や剣などに関する技術をせいぜい二十年しかない人生で全て身に付けるのは難しい。それ専門に育てられたのかと思ったが、それにしても無理がある。それに、俺は人を見る目に関しては自信がある。あなたは今、嘘をついていない」

(信じてもらえたの?)

 まっすぐに見つめられそう言われ、胸に熱いものが込み上げてくる。
 しかし、その後に続いた言葉に思わず苦笑してしまった。

「シャルロット。あなたのこれまでの人生ではそういうことが起こったのかもしれないが、今回は絶対に死なせない。俺が守ってやる」

 この台詞、最初の人生でシャルロットを殺したのがエディロンでなければとても頼もしく感じたと思うのだけれど──。

「実は陛下……一度目の人生でわたくしを殺したのは、あなたです」
「……は?」
「あなたが私を斬り殺しました。その剣で」