「え?」
驚いたシャルロットはその声の方向を見る。ちょうど目に入った大通りの向こう側に、人々が集まっているのが見えた。
(何かしら?)
人々の中心には一頭の牛がいる。機嫌が悪いのか、しきりに首を振って暴れている。
「あれは、暴れ牛ね?」
荷車に繋がれた牛は酷く興奮しているようだ。主が必死に言うことを聞かせようと努力しているが、全く大人しくなる様子がない。
「みんな、危ないから建物に入りましょう」
シャルロットは周囲で遊んでいた子供達に呼びかける。
暴れ牛は人やものがあっても突進してくることがあるので、とても危険なのだ。巻き込まれると大怪我したり、最悪命を落とすことすらある。
「落ち着かせろ!」
「危ないぞ!」