『貴女の名前を聞いても?』
『もちろんです。エリス国第一王女のシャルロット=オードランですわ』
シャルロットは質素なドレスのスカートを摘まみ、お辞儀をする。
『あの……、大変失礼ですがあなたは?』
『俺か? ダナース国の国王のエディロン=デュカスだ』
それが、シャルロットとエディロンの出会いだった。 エディロンは舞踏会があまり好きではないようで、その日はずっとシャルロットに付き合ってくれた。それはシャルロットにとって、とても楽しい時間だったのだが──。
・・・
『エディロン=デュカス様がわたくしに求婚?』
シャルロットは小さく呟く。
記憶に残るのは、凜々しく男らしい男性だ。しかし、すこし怖そうな見た目とは裏腹に紳士的で優しい態度、そしてシャルロットの話に相槌を打つ際の優しい眼差し──。