『あ、ごめんなさい。少し休憩をしていました』

 シャルロットはぎゅっと自分のスカートを握ると、小さく頭を下げる。舞踏会が終わるまでここでやり過ごそうと思っていたけれど、他の場所を探さなければならないようだ。

『休憩? ここは冷えるだろう?』

 目の前の男性が訝しげに言う。

『いえ、大丈夫です』

 シャルロットは小さく首を横に振る。

『その髪飾り──』
『髪飾り?』

 男性の視線はシャルロットの頭に向いていた。
 シャルロットは自分の髪に触れる。そして、先ほどリゼットにいわれた言葉を思い出して恥ずかしくなった。

『地味でおかしいでしょう?』
『いや? 似合っていると思うが』