シャルロットは大袈裟に眉根を寄せると、深々と謝罪する。
 心では謝罪の気持ちなどこれっぽっちもなく「とっとと帰れ」とすら思っていたが、一切それは顔には出さなかった。

「ご無礼へのお詫びに、わたくしが殿下へのおもてなしに面白い物をお見せしましょう」
「シャルロット王女が?」
「ええ。あなた、わたくしに剣を」

 シャルロットは優雅に頷くと、アリール王子の背後で顔をこわばらせる女性騎士へと声をかける。

 その瞬間、女性騎士の顔が目に見えて青くなった。罪を罰せられて剣を剥奪されるとでも思ったのだろう。剣を差し出す女性騎士の手は小さく震えていた。

「大丈夫よ」

 シャルロットは女性騎士にしか聞こえない声で、小さくそう言った。それはしっかりと女性騎士に聞こえたようで、彼女の目が大きく見開く。

「シャルロット王女。それで、面白い物とは?」

 アリール王子がシャルロットに声をかける。その態度からは、つまらない物を見せたら小馬鹿にしてやろうという底意地の悪さが覗えた。