国と国の首脳陣が直接会って話せるタイミングなど、そうそうあるものではない。この機会を利用して友好関係を築ければ、今後の外交上の大きな助けとなるだろう。暫く話し込んでいたロナールは、満足げな様子でフードコーナーのほうへ消えていった。

「シャルロット、助かった」

 先ほどまでロナールと会話していたエディロンがシャルロットに耳打ちする。

「いえ。お役に立てたならよかったですわ」
「お役に立てたらどころか、大助かりだ。あなたはそれだけの知識を、どうやって知ったんだ?」

 エディロンはシャルロットの顔を興味深げに覗き込む。
 遠巻きに見ている国内貴族のご令嬢達がさざめく。遠目に見ていると、まるでいちゃいちゃしているように見えるのだろう。

「どうやってって……、勉強したのです」

 シャルロットは小首を傾げる。
 正確に言うと、過去五回の人生で知識を少しずつ補強してきた。けれど、それは言う必要がないし、言っても信じないだろう。

「ふうん?」

 エディロンはあまり信じていない様子だったが、特に追求してくることもなかった。