『ハール』
闇夜に向かって呼びかけると、バサバサと一羽の文鳥が飛んできて、シャルロットの指先にとまった。
『心細いから一緒にいてくれる?』
シャルロットは文鳥に話しかける。
『もちろんよ』
文鳥は歌うように答える。この文鳥──名前はハールという──はシャルロットの使い魔だ。色々な場所に飛んで行っては町の出来事などを教えてくれるので、シャルロットはハールとお喋りするのが大好きだ。
『今日の町は、どうだった?』
『とても賑やかだったわ。お祭っていうのかしら? 出店がたくさん出ていて、お祝いの飾りが飾られていて』
『きっと、この舞踏会が開かれているからね。いいなあ、わたくしも見てみたいわ』