エディロンは周辺国の施策にはそれなりに詳しい自負があったが、それは初めて聞く内容だった。
 確かに全ての分野の学校を無料にすることは予算上難しい。しかし、無金利貸し付けであれば遥かに効率よく優秀な人材に予算を行き渡らせることができる。

「それは面白いやり方だ。調べておこう」
「はい」

 シャルロットは頷くと、また一口紅茶を飲む。

 いつの間にか、籠の中のパンケーキは全てなくなっていた。シャルロットと色々と話していたら、思った以上に時間が経っていたのだ。

「長居して悪かったな。俺はそろそろ戻る」

 エディロンはすっくと立ち上がる。そのとき、部屋の片隅に生き物がいることに気付いた。トカゲのように見えるが、背中に何かが生えている。

「それはなんだ?」
「羽根つきトカゲです。エリス国から連れてきました」
「へえ」