大広間を行き交う男女を見ると皆自分よりずっとキラキラした衣装や宝飾品を付けていることに気付き、急激に恥ずかしくなった。

 弟のジョセフが一緒であればまだ心強かったのだけれど、生憎近くにいない。

(そうだわ。外に出れば……)

 酔いを覚ますふりをして外にいれば、誰にも会わずに済む。そう思ったシャルロットはそっとテラスへと抜け出した。

 ひんやりとした空気が身を包んだ。シャルロットは口元に両手を当て、白い息をはく。

(わたくし、なんのためにここに来たのかしら?)

 なんだか今夜は、いつにも増して冷える気がする。華やかな舞踏会の中でひとりぼっちに感じ、心細さを感じた。