その日の晩、エディロンはシャルロットの下を訪ねた。

「俺だ。エディロンだ。入るぞ」

 ドアを開けると、なぜか外出用のガウンを着込んだシャルロットがソファーに座って待ち構えていた。

「お待ちしておりました。どうなされたのですか?」
「あなたにこれを届けようかと思って」

 エディロンはシャルロットに小さな籠を差し出す。

「これは?」

 シャルロットは中身の予想が付かないようで、小首を傾げながら籠を受け取る。しかし、中身を確認してすぐに表情を明るくした。

「まあ、パンケーキですね? どうされたのですか?」
「今日、孤児院で読み聞かせするあなたを見かけた。ちょうどパンケーキの話をしているのを聞いてな。厨房のものに作らせた」
「まあ」