それが王妃様の嫌がらせであることは気付いていた。けれど、文句を言うと『意地汚い』と罵られて食事が抜きなるだけなので、いつもそうやってジョセフと協力しながら凌いできたのだ。


 綺麗に剥かれたスナーシャを皿に載せてエディロンの前に置くと、エディロンはじっとそれを見つめる。

「お召しにならないのですが?」
「…………」
「あっ。もしかして、毒味が必要ですか?」

 エディロンは、国王だ。毒を盛られることを恐れているのではないかと思ったシャルロットは、そのお皿からひとつを摘まみ上げると、自分の口に入れる。ジュワッと甘い果汁が染み出る。

「うーん、美味しい」

 懐かしい味がした。二度目の人生では、ラフィエ国に滞在中に幾度なくこれを食べたものだ。

「さあさあ、陛下もどうぞ」
「そういうことではなかったのだが……」