『リゼットの髪飾りも素敵ね』
『も、ですって?』
リゼットは不愉快そうに眉をひそめる。
──と、そのとき、見知らぬ男性が声をかけてきた。
『もしかして、エリス国の王女殿でいらっしゃいますか?』
声をかけられたのはリゼットのほうだ。リゼットは一瞬で表情を取り繕うと、にこやかに『ええ、そうですわ』と答える。
『私はラフィエ国の第二王子のコニー=アントンソンと申します。是非、私とダンスを──』
隣国の王子を名乗ったその男性はシャルロットの前でリゼットに自己紹介をすると、リゼットの手を取る。そして、シャルロットのほうを向いた。