シャルロットに対して、エディロンは特に行動の制限をしていない。
 ダナース国の国民はレスカンテ国時代、長きにわたり当時の政権により不当な弾圧を受けていた。そのためダナース国では国民の自由の保証には特に力を入れており、それはエディロンの婚約者であるシャルロットに対しても言えることだからだ。

 だが、頻繁と聞いて別のことが気になった──。

「彼女には、俺が言ったとおりの予算を?」
「もちろん。それ以上でも、それ以下でもありません」
「そんなにしょっちゅう買い物していて、足りるのか? ツケは払わないぞ」

 エリス国の王女を迎えるにあたり、エディロンは彼女の生活のために必要な額を予算としてしっかり確保した。王妃として生活するには交際費などそれなりの額が必要になるだろと判断してのことだ。

 しかし、それはあくまでも『必要な額』であり、『湯水のように使える額』ではない。そんなことをすれば国民の血税を私的な贅沢に使ったレスカンテ国の王族達と同じになってしまう。