シャルロットは大通りを眺める。行き交う多くの人々の表情は生き生きとしていた。

(きっと、陛下は為政者としては有能なのね)

 かつて愛した男であり、自分を殺した男でもあるエディロン。思い返せば、シャルロットはエディロン自身のことをほとんど何も知らないことに気付く。

 ──為政者として優秀。

 だからこそ、彼は政略結婚で最も多くの恩恵が得られる相手──エリス国に王女を娶ることを打診した。

(じゃあ、あのときわたくしを殺したのにも意味があったのかしら?)

 シャルロットはなぜ彼が一度目の人生で自分を殺したのかもう一度考えてみる。
 けれど、どんなに考えてもやっぱりわからなかった。