ケイシーは首を傾げて、シャルロットの視線の先を見る。

 そこには、くすんだ黄土色でぼつぼつのある果物が売られていた。スナーシャと呼ばれるこの果物は、二度目の人生のときに嫁ぐために長期滞在したラフィエ国でよく見かけた。

 少しグロテスクな見た目に寄らず、カットすると中は白い果肉が詰まっており味はとても甘くて瑞々しい。ラフィエ国に行ってはじめてこれを口にしたシャルロットは、すっかり気に入って毎日のように食べていたものだ。


「お嬢様、よくご存じですね。今の時期は特に甘くて美味しいですよ」

 シャルロットとケイシーの視線に気付いた八百屋の店主が声をかけてくる。

「スナーシャをどこかで栽培しているの?」
「ラフィエ国から輸入したものを最近取り扱うようになったんですよ。道路が整備され田上に関所で足止めされることがなくなって、運ぶ日数がかからなくなったから」

 店主は陽気に笑う。